(平成17年2月25日付け法務省民二第457号法務局長あて民事局長通達)
不動産登記法(平成16年法律第123号。以下「法」という。)、不動産登記令(平成16年政令第379号。以下「令」という。)及び不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「規則」という。)が本年3月7日から施行されることとなり、本日付け法務省民二第456号当職通達「不動産登記事務取扱手続準則の改正について」(以下この通達による改正後の不動産登記事務取扱手続準則を「準則」といい、改正前の不動産登記事務取扱手続準則を「旧準則」という。)を発したところですが、これらに伴う登記事務の取扱いについては、下記に留意し、事務処理に遺憾のないよう、貴管下登記官に周知方取り計らい願います。
記
第1 法の施行に伴う登記事務の取扱い
1 登記官による本人確認
(1)登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、申請人の申請の権限の有無についての調査(以下「本人確認調査」という。)を行わなければならないとされた(法第24条第1項)。
(2)本人確認調査は、当該申請が法第25条の規定により却下すべき場合以外の場合であって、次に掲げるときは、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときに該当するものとして、行うこととされた(法第24条第1項、準則第33条)。
ア 捜査機関その他の官庁又は公署から、不正事件が発生するおそれがある旨の通報があったとき。
イ 不正登記防止申出に基づき、準則第35条第7項の措置を執った場合において、当該不正登記防止申出に係る登記の申請があったとき(当該不正登記防止申出の日から3月以内に申請があった場合に限る。)。
ウ 同一の申請人に係る他の不正事件が発覚しているとき。
エ 前の住所地への通知をした場合において、登記の完了前に、当該通知に係る登記の申請について異議の申出があったとき。
オ 登記官が、登記識別情報の誤りを原因とする補正又は取下げ若しくは却下が複数回されていたことを知ったとき。
カ 登記官が、申請情報の内容となった登記識別情報を提供することができない理由が事実と異なることを知ったとき。
キ 前各号に掲げる場合のほか、登記官が職務上知り得た事実により、申請人となるべき者に成りすました者が申請していることを疑うに足りる客観的かつ合理的な理由があると認められるとき。
(3)本人確認調査を行う場合において、その登記の申請が資格者代理人によってされているときは、原則として、まず、当該資格者代理人に対し必要な情報の提供を求めるものとされた(準則第33条第2項)ので、この資格者代理人に対する調査により、申請人となるべき者の申請であると認められたときは、本人に対して調査を行う必要はない。
(4)登記官は、本人確認調査を行ったときは、準則第33条第3項で定める様式の調書(以下「本人確認調書」という。)を作成し、これを申請書(電子申請にあっては、第2の1(2)の電子申請管理用紙)と共に保管するものとされた(規則第59条第1項、準則第33条第3項、第4項)。
(5)本人確認調査は、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑う契機となった事由等に応じ、適切な方法により調査をすることを要する。したがって、疑いの程度又は当該契機となった事由に応じて、電話等による事情の聴取又は資料の提出等により当該申請人の申請の権限の有無を確認することができる場合には、本人の出頭を求める必要はない。
(6)本人確認調査は、当該申請人の申請の権限の有無についての調査であって、申請人となるべき者が申請しているかどうかを確認するためのものであり、申請人の申請意思の有無は本人確認調査の対象ではない。
(7)本人確認調査において申請人等から文書等の提示を受けた場合において、提示をした者の了解を得ることができたときは、その文書の写しを本人確認調書に添付するものとし、了解を得ることができなかったときには、文書の種類、証明書番号その他文書を特定することができる番号等の文書の主要な内容を本人確認調書に記録するものとされた(準則第33条第5項)。
本人確認調書には、このほか、当該申請人から聴取した内容など、登記官が当該申請人の申請の権限の有無を確認することができた事由を明らかする事項を記載するものとする。
(8)登記官は、出頭を求める申請人等が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に本人確認調査を嘱託することができるとされた(法第24条第2項)。
この嘱託は、遠隔の地に居住しているとき又は申請人の勤務の都合等を理由に他の出張所に出頭したい旨の申出があり、その理由が相当と認められるとき(例えば、申請人の長期出張や病気による入院等が考えられる。)に行うものとされた(準則第34条第1項)。
この嘱託は、嘱託書のほか、登記事項証明書及び申請書の写し並びに委任状、印鑑証明書等の本人確認調査に必要な添付書面の写しを送付してすることとされた(同条第2項)。
嘱託を受けた登記所の登記官がする本人確認調査の内容は、申請を受けた登記所の登記官がする本人確認調査と同様であり、調査後は、本人確認調書を作成する(規則第59条第1項後段)。
嘱託を受けた登記所の登記官が本人確認調査を終了したときは、本人確認調書を嘱託書と共に嘱託した登記所に送付するものとされた(準則第34条第3項)。
なお、嘱託した登記所から嘱託書と共に送付された登記事項証明書並びに申請書及び添付書面の写しは、適宜、廃棄して差し支えない。
2 不正登記防止申出の取扱い
(1)登記官の本人確認調査の契機とするため、不正登記防止申出の取扱いが定められた(準則第35条)。申出を受ける場合は、申出人に、当該申出があったことのみにより申出に係る登記の申請を却下するものではないこと等不正登記防止申出の取扱いの趣旨を十分に説明することを要する。
(2)不正登記防止申出があった場合には、当該申出人が申出に係る登記の登記名義人本人であることのほか、当該申出人が申出をするに至った経緯及び申出が必要となった理由に対応する措置を採っていることを確認しなければならないとされた(準則第35条第4項)。
この措置とは、印章又は印鑑証明書の盗難を理由とする場合には警察等の捜査機関に被害届を提出したこと、第三者が不正に印鑑証明書の交付を受けたことを理由とする場合には交付をした市町村長に当該印鑑証明書を無効とする手続を依頼したこと、本人の知らない間に当該不動産の取引がされている等の情報を得たことによる場合には警察等の捜査機関又は関係機関への防犯の相談又は告発等がこれに当たる。
申出の内容が緊急を要するものである場合には、あらかじめこれらの措置を採っていないときであっても、申出を受け付けて差し支えない。この場合には、直ちに、当該措置を採ることを求めるものとする。
3 登記義務者の権利に関する登記済証の取扱い
(1)法附則第6条の指定(以下「第6条指定」という。)がされるまでの間において、法附則第6条第3項の規定により読み替えて適用される法第22条ただし書に規定する「登記済証を提出することができないことにつき正当な理由がある場合」は、次に掲げる場合とする。
ア 改正前の不動産登記法(以下「旧法」という。)第60条第1項若しくは第61条の規定により還付され、若しくは交付された登記済証(法附則第8条の規定によりなお従前の例によることとされた登記の申請について旧法第60条第1項又は第61条の規定により還付され、又は交付された登記済証を含む。)又は法附則第6条第3項の規定により読み替えて適用される法第21条若しくは第117条第2項の規定により交付された登記済証(以下「登記済証」と総称する。)が交付されなかった場合
イ 登記済証が滅失し、又は紛失した場合
ウ 法第22条の登記義務者が登記済証を現に所持していない場合
(2)第6条指定がされた後に法第22条ただし書に規定する「登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合」は、準則第43条第1項各号に掲げる場合のほか、電子申請をする場合において、登記済証を所持しているときとする。
(3)登記義務者の権利に関する登記済証とする旧法第60条第2項の規定により登記済みの手続がされた保証書については、第6条指定がされるまでの間、従来の取扱い(昭和39年5月13日付け民事甲第1717号当職通達)と同様とする。
4 登記権利者に交付する登記済証の取扱い
(1)第6条指定がされるまでの間において、規則附則第15条第3項の規定により登記権利者に交付する登記済証は、同条第2項の書面に旧法第60条第1項及び旧準則第70条から第74条までの規定により作成するものとする。
なお、申請人が規則第55条第1項本文の規定により登記原因を証する情報を記載した書面の原本還付を求めた場合において、当該書面が同項ただし書の書面に該当しないときは、申出により当該登記原因を証する情報を記載した書面を規則附則第15条第2項に規定する書面と兼ねることができるものとし、当該登記原因を証する情報を記載した書面により登記済証を作成して差し支えない。
(2)申請人があらかじめ登記済証の交付を希望しない旨の申出をしたとき又は規則附則第15条第2項に規定する書面を提出しなかったときは、登記済証を作成することを要しないとされた(同条第4項第1号、第4号)。
5 登記義務者に還付する登記済証等の取扱い
(1)第6条指定がされるまでの間において、登記済証(4の登記済証を除く。)の作成は、なお従前の例によるとされている(規則附則第15条第6項前段)ので、規則附則第15条第2項の規定により提出された書面又は登記義務者の登記済証を利用して旧法第60条第2項及び旧準則第70条から第74条までの規定により作成した登記済証を交付すれば足り、登記完了証を交付することを要しない。
(2)法附則第6条第3項の規定により読み替えて適用される法第22条の規定により提出すべき登記済証を提出しないで申請があった場合において、登記義務者に還付する登記済証の作成のために規則附則第15条第2項の書面の提出があったときは、同書面を旧法第60条第2項に規定する保証書とみなして(規則附則第15条第6項後段)、登記義務者に還付する登記済証を作成するものとする。
6 受領証の取扱い
受領証(規則第54条参照)を交付した申請であっても、登記済証の交付の際に当該受領証を返還させることを要しない。
7 原本還付の取扱い
相続による権利の移転の登記等における添付書面の原本の還付を請求する場合において、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、登記原因証明情報のうち、戸籍謄本又は抄本及び除籍謄本に限り、当該相続関係説明図をこれらの書面の謄本として取り扱って差し支えない。
8 事前通知の通知番号等
事前通知書には、通知番号等を記載するとされた(規則第70条第2項)。
当該通知番号等は、事前通知書に記載するほか、準則別記第20号様式の各種通知簿(以下「事前通知簿」という。)にも記載する。
登記官は、事前通知書及び事前通知簿に記載された通知番号等を部外者に知られないように管理しなければならない。
9 資格者代理人による本人確認情報の提供
規則第72条第1項第3号の書類の内容を明らかにするには、同条第2項に掲げる書類の写しを添付する方法又は写しと同じ程度に当該書面の内容を特定することができる具体的な事項を本人確認情報の内容とする方法によりするものとする。
10 申請書等についての公証人の認証
申請人が正当な理由により登記識別情報を提供することができない場合において、申請書等について公証人から当該申請人が法第23条第1項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、登記官がその内容を相当と認めるときは、事前通知を省略することができることとされた(法第23条第4項第2号)。
なお、この取扱いの対象となる認証をすることができる者には、公証人法(明治41年法律第53号)の適用を受ける公証人のほか、同法第8条の規定により公証人の職務を行うことができる法務事務官も含まれる。
(1)申請書等について次に掲げる公証人の認証文が付されている場合には、法第23条第4項第2号の本人確認をするために必要な認証としてその内容を相当と認めるものとする。
ア 公証人法第36条第4号に掲げる事項を記載する場合
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。
本職は、右嘱託人の氏名を知り、面識がある。
よって、これを認証する。」
又は
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)したことを自認する旨陳述した。
本職は、右嘱託人の氏名を知り、面識がある。
よって、これを認証する。」
イ 公証人法第36条第6号に掲げる事項を記載する場合
(ア)印鑑及び印鑑証明書により本人を確認している場合の例
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。
本職は、印鑑及びこれに係る印鑑証明書の提出により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
又は
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)したことを自認する旨陳述した。
本職は、印鑑及びこれに係る印鑑証明書の提出により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
(イ)運転免許証により本人を確認している場合の例
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。
本職は、運転免許証の提示により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
又は
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)したことを自認する旨陳述した。
本職は、運転免許証の提示により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
(2)申請書等についてされた公証人の認証が、委任による代理人により嘱託された申請書等についての認証であるときは、法第23条第4項第2号に規定する「登記官が本人確認をするために必要な認証としてその内容を相当と認めるとき」に当たらないものとする。
(3)申請書等についてされた公証人の認証が、急迫な場合で人違いでないことを証明させずにした認証(公証人法第36条第8号参照)であるときは、証書を作成した後3日以内に上記(1)の基準に適合する認証がされたもの(公証人法第60条において準用する第28条第3項)に限り、相当なものとして取り扱って差し支えない。
11 地図等に関する取扱い
(1)電磁的記録に記録された地図等
ア 適用時期
(ア)地図管理システムに登録されている地図又は地図に準ずる図面について、法第14条第6項の規定による電磁的記録に記録された地図又は地図に準ずる図面(以下「電子地図」という。)とする取扱いは、平成17年3月7日以後(以下「施行日後」という。)、速やかに開始するものとする。
(イ)電子地図の取扱いを開始する際には、開始の日、電子地図の閲覧方法等について、登記所の適宜の箇所に掲示するなどの方法により周知を図るものとする。
イ 従前の地図又は地図に準ずる図面の閉鎖手続
地図又は地図に準ずる図面を電磁的記録に記録したときには、従前の地図又は地図に準ずる図面を閉鎖するものとされた(規則第12条第1項、第4項)。この場合の閉鎖の日付は、電子地図としての取扱いを開始した日とするものとする。
ウ 地図管理システムに登録された電子地図の閉鎖
地図管理システムに登録された電子地図を閉鎖する場合には、規則第12条第2項の規定にかかわらず、登記官の識別番号の記録を要しない。
エ 電子地図の副記録
地図管理システムに登録されている電子地図については、毎日の業務終了後に同システムの電子地図に記録されている情報と同一の情報を磁気テープに記録させ、これを副記録とするものとする。
オ 地図管理システムに登録された電子地図の閲覧
地図管理システムに登録された電子地図の閲覧は、閲覧用に印刷したもの(電子地図の一部をA3版の用紙に出力した認証文のないもの)によって行うものとする。
なお、請求人が地図又は地図に準ずる図面の平面直角座標系の番号又は記号、図郭線及びその座標値、精度区分等の情報の閲覧を希望する場合は、便宜、地図又は地図に準ずる図面の内容の全部を出力したもの(以下「補完図」という。)及び閉鎖した地図又は地図に準ずる図面を併せて閲覧に供して差し支えない。補完図は、電子地図としての取扱いを開始する前日までに、地図管理システムに登録されていた地図又は地図に準ずる図面と同一の情報の内容を出力したものを使用するものとする。補完図については、電子地図の記録事項に異動修正があったときであっても、再度、修正したものを出力することを要しない。
(2)地図等の訂正
ア 地図又は地図に準ずる図面の訂正
地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画(地図に準ずる図面にあっては、土地の位置又は形状。イの(イ)及びエにおいて同じ。)又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人(申出に係る地図等が表題登記のみがされている土地に係るときは表題部所有者、所有権の登記がある土地に係るときは所有権の登記名義人、これらの者に相続その他一般承継を生じているときはこれらの相続人その他の一般承継人となる。)は、その訂正の申出をすることができるとされた(規則第16条第1項。以下「地図訂正等申出」という。)。
従前の取扱いによる地図又は地図に準ずる図面の訂正の申出手続は、登記官の職権の発動を促すものであり、その申出の要件、必要な添付書面、申出に対する対応方法等は定められていなかったが、規則に地図訂正等申出の手続を設けることにより、この申出をすることができる者の範囲、申出情報と併せて提供すべき情報、申出の却下事由等を定め、却下事由がない場合に限り、訂正をしなければならないことを明らかにしたものである。
なお、地図訂正等申出は、職権による地図等の訂正手続を否定したものではない。
これらの申出権が認められる者以外の者からの申出については、地図訂正等申出の趣旨であるか否かを確認し、地図訂正等申出の趣旨である場合は、これを却下するものとし(同条第13項第2号)、そうでない場合は、これを職権の発動を促す申出があったものとして取り扱って差し支えない(同条第15項参照)。
イ 地図訂正等申出
(ア)地図訂正等申出は、表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又は相続人その他の一般承継人が2人以上ある場合には、そのうちの1人からすることができる。
(イ)地図訂正等申出に係る表題部所有者若しくは所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所が登記簿に記録されている氏名又は名称及び住所と異なる場合において、地図訂正申出情報と併せて当該表題部所有者又は所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)が提供されたときは、規則第16条第13項第2号の規定により当該地図訂正等申出を却下することを要しない。
(ウ)地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画に誤りがあることによる地図訂正等申出の際に添付された地積測量図(規則第16条第5項第2号)に記録された地積が登記記録上の地積と異なる場合には、地図訂正等申出は、地積に関する更正の登記の申請と併せてしなければならないとされた(同条第2項)。ただし、当該地積の差が、規則第77条第4項において準用する第10条第4項の規定による地積測量図の誤差の限度内であるときは、当該申出は、地積に関する更正の登記の申請と併せてすることを要しない。
(エ)地図訂正等申出をする場合において、地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画若しくは位置若しくは形状又は地番の誤りが登記所に備え付けられている土地所在図、地積測量図又は閉鎖された地図若しくは地図に準ずる図面により確認できる場合には、その図面を特定する情報を提供すれば、規則第16条第5項第1号の誤りがあることを証する情報の提供があったものと認めて差し支えない。
ウ 地図訂正等申出の調査
(ア)地図訂正等申出に係る事項の調査に当たっては、地番の訂正を除き、実地調査をしなければならない。ただし、登記所備付けの資料等により訂正する事由が明らかである場合は、この限りでない。
(イ)地図訂正等申出に係る事項の調査をした結果、規則第16条第13項各号に掲げる事由に該当する場合は、当該地図訂正等申出を却下しなければならない。
エ 地図訂正等申出情報の記録事項
地図訂正等申出に係る訂正の内容(規則第16条第3項第5号)の記録方法は、次のとおりとする。
(ア)地図又は地図に準ずる図面に表示された土地の区画に誤りがあることを理由とする場合において、土地所在図又は地積測量図(規則第16条第5項第2号)を添付するときは、「別紙土地所在図のとおり」又は「別紙地積測量図のとおり」のように記録して差し支えない。
(イ)地図又は地図に準ずる図面に表示された地番に誤りがあることを理由とするときは、「地図上の地番の表示「5番1」を「5番2」に、「5番2」を「5番1」に訂正」のように記録するものとする。
オ 職権による地図等の訂正
職権による地図、地図に準ずる図面又は建物所在図の訂正(規則第16条第15項)の手続は、職権による表示に関する登記についての手続に準ずるものとする(規則第96条並びに準則第16条第1項第1号後段、同条第2項第1号、第60条及び第65条参照)。
カ 地図管理システムに登録されている電子地図の訂正票
地図管理システムに登録されている電子地図の訂正を行った場合においては、準則第17条第1項第7号の規定にかかわらず、訂正票を作成し、適宜、別途保管するものとする。
キ 施行日前に提出された申出の取扱い
平成17年3月6日以前(以下「施行日前」という。)に提出された地図等の訂正の申出については、なお従前の例による。
(3)新住市街地登記令の土地の全部についての所在図の取扱い
不動産登記法及び不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成17年政令第24号)による改正後の新住宅市街地開発法等による不動産登記に関する政令(昭和40年政令第330号。以下「新住市街地登記令」という。)第6条第3項(同令第11条において首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和33年法律第98号)第30条の2の登記について準用する場合を含む。第3の5において同じ。)の規定により新住市街地登記令第6条第2項の土地の全部についての所在図は、新たに国土調査法(昭和26年法律第180号)第19条第5項の規定による指定を受けた地図でなければならないとされた。
12 土地所在図の訂正等
(1)土地所在図の訂正等
土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図に誤りがあるときは、表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人(申出に係る地図等が表題登記のみがされている土地に係るときは表題部所有者、所有権の登記がある土地に係るときは所有権の登記名義人、これらの者に相続その他一般承継を生じているときはこれらの相続人その他一般承継人となる。)は、その訂正の申出をすることができるとされた(規則第88条第1項。以下「土地所在図訂正等申出」という。)。
この場合の土地所在図訂正等申出ができる事項は、規則に定める土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図の内容(規則第76条から第79条まで及び第82条から第84条まで)のすべてである。
(2)土地所在図訂正等申出
ア 土地所在図訂正等申出は、申出に係る表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又は相続人その他の一般承継人が2人以上ある場合には、そのうちの1人からすることができる。
イ 土地所在図訂正等申出に係る表題部所有者若しくは所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所が登記簿に記録されている氏名又は名称及び住所と異なる場合において、土地所在訂正等申出に係る申出情報と併せて当該表題部所有者又は所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)が提供されたときは、規則第88条第3項において準用する第16条第13項第2号の規定により当該土地所在図訂正等申出を却下することを要しない。
ウ 土地所在図、地積測量図、建物図面又は各階平面図の誤りがこれらの図面を添付情報とする更正の登記の申請によって訂正することができるものである場合には、土地所在図訂正等申出をすることはできないとされた(規則第88条第1項ただし書)。
(3)土地所在図訂正等申出の調査
ア 申出に係る事項の調査をした結果、申出に係る事項に却下すべき理由がないときは、土地所在図の訂正等をしなければならない(規則第88条第3項において準用する規則第16条第12項及び第13項)。
イ 土地所在図訂正等申出に係る事項の調査に当たっては、地番又は家屋番号の訂正を除き、実地調査をしなければならない。ただし、登記所備付けの資料等により訂正する事由が明らかである場合は、この限りでない。
(4)土地所在図の訂正等の申出情報の記録事項
土地所在図の訂正等の申出情報に記録する事項のうち、申出に係る訂正の内容(規則第88条第3項において準用する規則第16条第3項第5号)については、「別添土地所在図のとおり」、「別添地積測量図のとおり」、「別添建物図面のとおり」又は「別添各階平面図のとおり」のように記録して差し支えない。
13 表示に関する登記の添付情報の特則
(1)表示に関する登記を電子申請によりする場合において、当該申請の添付情報(申請人又はその代表者若しくは代理人が作成したもの及び土地所在図等を除く。)が書面に記載されているときは、当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録したものを添付情報とすることができ、この場合において、当該電磁的記録は、当該電磁的記録を作成した者による電子署名が行われているものでなければならないとされた(令第13条第1項)。この場合には、登記官が定めた相当の期間内に、登記官に当該書面の原本を提示しなければならないとされた(同条第2項)。
(2)令第13条第1項の「当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録したもの」としては、当該書面のうち令で定められた添付情報として必要な部分のみを記録したもので差し支えない。
(3)「当該書面の提示」は、登記所に持参若しくは郵送の方法により提出し、又は実地調査の際に登記官に提示することのいずれによることもできる。
(4)令第13条第2項の「相当の期間」は、実地調査を実施するまでの期間を目安とする。
(5)書面に記載された情報を電磁的記録に記録したものを添付情報とする電子申請がされた場合において、相当の期間内に当該書面の提示があったときは、その書面と添付情報とを照合確認した後、添付情報の内容を印刷した書面に登記官が原本確認の旨を記載して登記官印を押印し、第2の1(2)の電子申請管理用紙と共に保存しなければならない。
(6)相当の期間内に当該書面の提示がされないときは、必要な情報の提供がないものとして、法第25条第9号の規定により申請を却下するものとする。
14 要役地の分筆の取扱い
(1)分筆後の土地の一部について地役権を消滅させることを証する情報
登記官は、要役地についてする地役権の登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを証する地役権者が作成した情報が提供されたときは、当該土地について当該地役権が消滅した旨を登記しなければならないものとされた(規則第104条第6項)。
当該地役権者が作成した情報を記載した書面には、当該地役権者が記名押印し、これに当該地役権者の印鑑証明書を添付することを要する(当該消滅させることを証する情報を電子申請によって提供する場合には、当該情報に電子署名を行い、電子証明書と併せて提供することを要する。)。
(2)分筆後の土地の地番の定め方
(1)の場合において、分筆後の土地の地番を定めるときは、地役権を消滅させない分筆後の土地について、分筆前の土地の番号を用いるものとする。
この場合において、分筆前の土地に支号がないときは、分筆した土地について支号を設けない地番を存するものとすることができるとされた(準則第67条第1項第5号)。
15 前の登記に関する登記事項証明書
前の登記に関する登記済証は、準則第112条に規定する登記事項証明書として取り扱って差し支えない。
16 共同担保目録に係る事務の取扱い
規則附則第9条第1項本文の規定によりなお従前の例によるとされた共同担保目録に記録すべき情報の提供方法について、同項ただし書の規定により共同担保目録1通が添付書面として提出された場合において、前の登記に係る他の登記所が規則附則第9条の共担未指定登記所であるときは、適宜、提出された共同担保目録の写しを作成して、当該他の登記所に対する規則第168条第5項の通知に添付するものとする。規則附則第9条第2項の場合についても、同様とする。
第2 第6条指定を受けた登記事務の取扱い
1 電子申請の受付後の処理
(1)電子申請については、申請情報等が登記所に到達した時(登記所に申請情報等が到達するのは、登記所の開庁日の午前8時30分から午後5時までに限られる。)に自動的に受付番号が付され、不動産所在事項の記録がされる。
(2)登記官は、電子申請の受付を受付用端末装置で確認した場合は、当該申請に関する調査票と共に、申請情報、添付情報及び電子署名の検証結果を書面に印刷するとともに、別記第1号様式の申請の受付の年月日及び受付番号等が記載された書面(以下「電子申請管理用紙」という。準則第32条第3項参照。)を印刷し、これらの書面を登記完了まで一括して管理するものとする。
なお、電子署名については、申請情報に付された電子署名のほか、添付情報に付された電子署名についても自動的に電子署名の検証及び電子証明書の有効性の確認が行われ、その結果が印刷されるが、登録免許税の納付情報については、調査端末装置により、納付の事実を確認した上、印刷する必要がある。
2 審査の方法
(1)電子申請についての審査は、1の(2)で印刷した書面を用いて行うほか、登記識別情報は、調査用端末装置において照合し、その結果を印刷して、1の(2)で印刷した書面と共に管理するものとする。
(2)書面申請において、登記識別情報を提供する場合には、登記識別情報を記載した書面を封筒等に入れて封をし、当該封筒に登記識別情報を提供する申請人の氏名又は名称及び登記の目的を記載し、「登記識別情報在中」のように記載して、申請書に添付して提出することとされた(規則第66条第1項第2号、第2項、第3項)。
登記識別情報を記載した書面としては、登記識別情報通知書若しくはその写し、電子情報処理組織を使用して送信された通知情報を印刷した書面又は登記識別情報が記載された適宜の用紙等がこれに当たる。
登記識別情報のみが記載された書面が提出された場合には、当該書面に申請の受付番号を記載するなど、当該書面がいずれの申請に関するものであるかを明らかにしておくものとする。
なお、当該書面が封筒に入れずに提出された場合であっても、却下事由には当たらず、補正させることを要しない。
(3)登記識別情報を記載した書面が提出された場合の審査については、申請人から提出された登記識別情報を調査用端末装置に入力して、正しい登記識別情報との照合を行い、その結果を印刷して、申請書と共に申請書類つづり込み帳につづり込むものとする(準則第41条第2項)。
(4)登記所の職員は、登記識別情報を記載した書面が提出された場合には、当該書面が部外者の目に触れることのないように厳重に管理し(準則第41条第1項)、当該申請に基づく登記を完了したときは、当該書面をシュレッダー等を利用して細断した上で、廃棄しなければならない(規則第69条、準則第41条第3項参照)。
このため、登記識別情報を記載した書面を審査する際又は登記識別情報を調査端末装置に入力する際には、その途中で席を離れることのないようにし、これらの審査又は調査が終了したときは、当該書面を提出の際に入れられていた封筒に戻すなど、細心の注意を払うものとする。
(5)電子署名及び電子証明書の有効性等の審査の基準は、次のとおりとする。
ア 情報の改ざんがある場合等
電子署名の検証の結果、当該電子署名がされた情報が改ざんされていることが検知された場合及び電子証明書の有効性確認の結果、電子証明書自体が偽造されたものであって該当する認証局が発行したものではない場合(電子証明書が存在しない場合)には、電子署名が行われていないものとして取り扱う。
イ 規則第43条第1項本文の場合
規則第43条第1項本文の規定により必要とされる電子証明書の有効性については、申請の受付時を基準として判断するものとする。すなわち、電子証明書の有効性を確認した結果、申請の受付時において、当該電子証明書が有効期限の経過その他の事由により失効し、又はその有効性の確認に対する回答が保留となっていたことが確認された場合には、電子署名が行われていないものとして取り扱う。
ウ 規則第43条第1項本文以外の場合
イ以外の場合に必要とされる電子証明書の有効性については、原則として電子署名が付された時を基準として判断するものとする。すなわち、電子証明書の有効性を確認した結果、電子署名が付されたとされる時点(この時点は、電子署名の検証によって判明する。)において、当該電子証明書が有効期限の経過その他の事由により失効し、又はその有効性の確認に対する回答が保留となっていたことが確認された場合には、電子署名が行われていないものとして取り扱う。そのため、調査の際に登記官が電子証明書の有効性確認を行った時点では電子証明書が失効等している場合であっても、差し支えない。電子証明書によっては、過去のある時点における有効性の確認ができない場合があるが、そのような場合には、当該電子署名が付された時点において既に当該電子証明書が失効等していたことが積極的に推認されるときを除き、当該電子署名は有効にされたものとして取り扱って差し支えない。
エ 却下事由
申請情報に電子署名が行われていないときの却下事由は法第25条第5号、委任による代理人の権限を証する情報等の添付情報に電子署名が行われていないときの却下事由は同条第9号によるものとする。
(6)登記官は、申請の補正期限内に申請人から補正情報と併せて提供された電子証明書が、検証の結果、既に失効している場合であっても、当該電子証明書が申請情報と併せて提供された電子証明書と同一のものであって、当該補正の内容が電子証明書の失効に関するものでないときは、当該補正情報と併せて提供された電子証明書を有効なものとして取り扱って差し支えない。
3 登記識別情報の再作成
次に掲げる場合には、登記識別情報を再作成するものとする。
(1)登記情報システムにおける登記識別情報の発行の処理において、作成と指示すべきところ、誤って不作成と指示して処理が完了した場合
(2)登記識別情報通知書を作成した後、当該登記識別情報を通知すべき者に当該登記識別情報通知書を交付する前に、通知書にはり付けられたシールがはがれた場合
なお、いったん登記識別情報を通知すべき者に登記識別情報を通知した後には、再作成することはできない。
4 電子申請の補正の方法
(1)補正の告知
登記官は、準則第36条第1項の規定により補正コメントを法務省オンライン申請システムに掲示する措置を採ったときは、当該補正コメントが法務省オンライン申請システムに到達したことを確認して、補正コメントの履歴を印刷した上、これを1の(2)で印刷した書面と共に管理するものとする。
なお、申請人が法務省オンライン申請システムのユーザー登録において電子メールのアドレスを登録していた場合において、補正コメントが法務省オンライン申請システムに掲示されたときは、当該アドレスにあてて、申請内容に不備があるため補正の手続を促す旨及び当該補正コメントの参照を促す旨の電子メールが送信される。
(2)補正があった場合の処理
補正情報が提供された場合は、当該情報を印刷した上、調査するが、その方法は、申請情報等の調査と同様である。また、1の(2)で印刷した書面に補正があったことを記載し、補正情報を印刷した書面を1の(2)で印刷した書面と共に管理するものとする。
なお、電子申請の補正については、書面によりすることはできない。ただし、登録免許税の不足額の納付は、登録免許税法(昭和42年法律第35号。以下「税法」という。)第24条の2第3項及び第33条第4項の規定により読み替えて適用する税法第21条又は第22条の登記機関の定める書類(以下「登録免許税納付用紙」という。)を用いて納付することができる。
5 電子申請の却下
電子申請を却下する場合には、調査未了の補正情報又は取下情報がないことを確認しなければならない。
6 電子申請の取下げ
(1)電子申請の取下げの処理は、取下書一覧の画面に表示される事件から、取下げの対象とする事件を選択して行うものとする。
この場合には、送信された取下情報を印刷した上、1の(2)で印刷した書面と共に管理するものとする。また、送信された取下情報の審査の方法は、申請情報等と同様である。
(2)取下情報に不備があるときは、補正の告知に準じて、連絡コメントを作成し、不備のない取下情報等の送信を求めるものとする。
登記官は、連絡コメントを法務省オンライン申請システムに掲示する措置を採ったときは、当該連絡コメントが法務省オンライン申請システムに到達したことを確認して、連絡コメントの履歴を印刷した上、これを1の(2)で印刷した書面と共に管理するものとする。
なお、申請人に連絡コメントが掲示された旨の電子メールが送信されることについても、補正の場合と同様である。
7 却下又は取下げとなった場合の登記識別情報通知書の還付
登記官は、却下又は取下げがあった登記の申請に添付された登記識別情報通知書を準則第41条第4項の規定により申請人に還付する場合は、当該申請の申請書又は取下書に登記識別情報通知書を還付した旨を記載するものとする。
8 申請書等に記録すべき事項の処理
(1)電子申請に基づく登記をする場合において共同担保目録を作成するときは、電子申請管理用紙に共同担保目録の記号及び目録番号を記載するものとする。
(2)電子申請の却下、又は取下げの場合は、電子申請管理用紙に却下した旨又は取り下げられた旨を記載し、登記官印を押印するものとする。この場合において、登録免許税を還付したときは、準則第128条第2項の手続を電子申請管理用紙に行うものとする。
(3)電子申請の処理においては、(1)及び(2)のほか、書面申請において登記官が申請書に記載すべき事項を電子申請管理用紙に記載するものとする。
9 電子申請において送信された情報等の処理
(1)電子申請に基づいて登記を完了したときは、電子申請管理用紙及び登録免許税納付用紙は、申請の受付番号の順序に従って申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。電子申請を却下した場合についても、同様とする。
(2)電子申請に基づいて登記を完了したときは、1の(2)で印刷した書面(電子申請管理用紙を除く。)は、申請の受付番号の順序に従って適宜のつづり込み帳につづり込んで、当分の間、保管するものとする。ただし、(1)の書面と共に申請書類つづり込み帳につづり込むことも差し支えない。
(3)電子申請の取下げがあった場合は、電子申請管理用紙及び登録免許税納付用紙は、登記完了後、当該申請の受付番号の順序に従って申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。ただし、登録免許税納付用紙については、登録免許税の再使用の請求があったときは、この限りでない。
(4)電子申請の取下げがあった場合は、1の(2)で印刷した書面(電子申請管理用紙を除く。)は、適宜廃棄して差し支えない。
(5)法第121条第2項の規定による電磁的記録に記録された登記簿の附属書類(土地所在図等を除く。)の閲覧の請求があった場合には、(2)により保管している書面を、規則第202条第2項の規定により当該電磁的記録に記録された情報の内容を書面に出力して表示したものとして、取り扱って差し支えない。
第3 経過措置
1 保証書事件の取扱い
(1)施行日前に旧法第44条の規定に基づき申請書に保証書を添付して申請がされた場合において、施行日後に旧法第49条第1号から第9号までの規定により却下すべきときでないことが明らかになったときは、旧法第44条ノ2第1項の事前通知をするものとする(法附則第8条)。
(2)施行日前に旧法第44条の規定に基づき申請書に保証書を添付して申請がされた場合において、施行日後に旧法第44条ノ2第1項の事前通知に基づく申出があったときは、当該申出に基づく手続は、同条第2項の規定によるものとする(法附則第8条)。
(3)施行日前に旧法第44条の規定に基づき申請書に保証書を添付して所有権に関する登記以外の登記の申請がされた場合において、施行日後に未処理のものがあるときは、当該登記の完了後に不動産登記法施行細則(明治32年司法省令第11号)第69条ノ4の事後通知をするものとする(法附則第8条)。
(4)施行日後に旧法第44条の規定に基づき申請書に保証書を添付して申請がされた場合において、登記済証の提出がないときは、登記済証を提出すべき旨又は提出することができない理由を申請情報の内容とすべき旨の補正を促し、後者の補正があった場合には事前通知の手続を採るものとする。
2 予告登記の取扱い
施行日前に旧法第3条の規定による予告登記の嘱託がされた場合において、施行日後に未処理のものがあるときは、旧法の規定による却下事由に該当しない限り、いったん旧法の規定に基づき予告登記を完了した(法附則第8条)上、規則附則第18条第2項の規定により、職権で、当該予告登記を抹消するものとする。
3 既存の予告登記の職権抹消
(1)規則附則第18条の規定により職権で予告登記を抹消しようとするときは、別記第2号様式の調書を作成し、当該調書に受付の処理をするものとする。
(2)規則附則第18条の規定により職権で予告登記を抹消するときは、権利部の相当区に「不動産登記規則附則第18条の規定により抹消」と記録するものとする。
(3)規則附則第18条第2項の場合のほか、利害関係人等から予告登記の抹消の申出があった場合は、適宜、同条第1項の規定により、職権で、当該予告登記を抹消して差し支えない。
(4)(1)及び(3)にかかわらず、登記原因の無効又は取消しによる登記の抹消又は回復をしたときは、旧法第145条第3項に規定する手続に準じ、当該予告登記を抹消して差し支えない。
4 登記用紙の改製等における予告登記の取扱い
登記用紙の移記をする場合において、抹消されていない予告登記があるときは、現に効力を有しない登記事項として、予告登記を移記することを要しない。
この場合においては、1の規定による抹消の手続を省略して差し支えない。
5 新住市街地登記令の土地の全部についての所在図の取扱い
新住市街地登記令第6条第1項の嘱託の場合における嘱託情報と併せて提供された同条第2項の土地の全部についての所在図は、第1の11(3)にかかわらず、国土調査法第19条第5項の指定を受けた地図でない場合であっても、施行日前に作成されていたものであるときは、土地の全部についての所在図が提供されていないことを理由に却下することを要しない。この場合において、当該嘱託が施行日後6月以内にされたときは、施行日前に作成されていたものであると認めて差し支えない。